地域と、あるいはNPOと連携・協働は、まず共感から
—リプロ株式会社—

(data)
リプロ株式会社
所在地 三重県四日市市智積町3359番地
代表者 取締役 佐野 幸男
設 立 平成8年(1996)4月
資本金 2,000万円

リプロが運営するユーユー・カイカン 菌床シイタケ栽培ハウス
リプロが運営する
ユーユー・カイカン
菌床シイタケ栽培ハウス

リプロと聞いてピンと来なくても、三重県下の温泉ファンやお風呂好き、なかでも北勢地域の皆さんなら、源泉かけ流しの天然温泉「ユーユー・カイカン」は、ご存じのことでしょう。けれど、そうと分かれば、なおさら疑問が募ることになりそうです。天然温泉とサステナビリティに、いったいどんな関係があるのやら。環境保全? 心と体の健康増進? ぽっかぽかの地域づくり? それとも…


人に頼らず、つくってしまおう『地域活性化推進室』

リプロの地元 四日市市は、人口も経済規模も県内最大のまち。しかし不況には勝てず、いまだ経済の先行きは楽観できないまま。むしろ規模が大きい分、経済的な傷は大きく深いのかも知れません。人口30万人のまちが負うダメージは、単純計算で3万人のまちの10倍。市民に及ぶ影響も、広く、大きく、深刻です。ここで、普通の企業は、「自分の会社だけは、なんとしても生き残りたい」と、内向きに経営の強化を図るものです。リプロはちょっと違いました。「こんな厳しい時代だからこそ、毛利元就の三本の矢の教えのように、個人・企業・各種機関・団体などが、あらゆる枠組みを超えて、力を合わせて頑張ろう」と、いたって外向き。さらには、人をあてにせず自ら手を挙げて、“矢”を集めるきっかけをつくろう、と考えました。こうしてリプロ社内に発足したのが、CSR担当部署『地域活性化促進室』です。2010年の4月のことでした。


渡る世間も、みんなで渡ればこわくない

『地域活性化促進室』を立ち上げた動機は、青臭い理想論ではありません。生活に密着した健康ランドという複合施設を経営してきたが故の、むしろ泥臭い現実論だったのです。同社『地域活性化促進室』のWEBサイトにこんな一文があります、「たとえ景気の浮き沈みはあっても地域生活の基本的営みがなくなる訳ではありません。どんな小さなまちにも小さいなりに、健康・医療・教育・文化・癒し・飲食・趣味・娯楽など、どれをとってもなくてはならないものだと思うのです」。この、本業を通じて皮膚感覚的に培った、自信とも信念とも見える裏づけ、つまり、日々の生活に欠かせない小さな営みが無くなることはなく、これが集まってクラスター(花やブドウの房のような集合体)をつくれば、支え合えるし、全体として大きな力を発揮できる、そんな実感が結実したわけです。


障害のある人たちの雇用をつくる「ユーユーハウス」

『地域活性化促進室』が発足した前後は、景気の低迷によって三重県の有効求人倍率は悪化の一途をたどり、特に四日市市の悪化幅は県下最悪。健常者の雇用がこんなありさまでは、障害のある人たちの現実はいっそう厳しい。案の定というべきか、障害のある人たちの雇用率は、三重県が全国最低でした。
そんな折り、障害のある人たちが働きたくても働く場がないという状況を打開する手法として、リプロでは、当時スタートした貸農園事業をきっかけに、農業に着目。そうして、2009年11月に、ユーユーハウス株式会社を設立し、翌2010年4月、満を持して始まったのが、「菌床シイタケ」栽培です。四日市で初めて、障害のある人たちを雇用した農場では、現在はヒラタケやイチゴの栽培も手がけ、地域と連携しながら、さらなる雇用を生み出すために、生産性向上と販路の開拓に取り組んでいます。


リプロ×Mブリッジ、企業とNPOの垣根を越えた連携

さて、「個人・企業・各種機関・団体などが、枠組みを超えて、力を合わせて頑張る」という『地域活性化促進室』の命題は、少しずつ芽を吹いています。私たちMブリッジも、2013年度の一年間に渡ってリプロと包括的な連携契約を結び、協働して、リプロ×Mブリッジ連携プロジェクトを実施しました。
ところで、「営利」企業とも称される会社と、「非営利」活動組織であるNPOの連携に違和感を覚えませんか? この2つは、水と油のように相容れないもの? 磁石の両極のように逆の指向ゆえ引き付け合うもの?
「これからの企業は、所属している地域をより明るく、より元気に、より楽しくするために営業活動していくことで『地域になくてはならない会社』を形成し、ステークホルダーの共感と信頼を得ることが必要ではないかと感じています。ステークホルダーからの共感や信頼を得る方法は、NPOが知っています。日頃から地域との関わり方、地域課題の解決を考えるNPOと企業が連携し、地域の素敵な未来を形成する『協働の実』を研究開発したいと考えています」と、語るのは、リプロ『地域活性化推進室』室長の高山功平さんです。


共感あるところに、異質な組織の協働が生まれる

一方、Mブリッジ理事長の米山哲司は、こう言っています。「地域課題を解決していくことがNPOの役割ですが、同様の志を持つ企業もありますね。同じ北極星を見て歩んでいるのに、手をつながないほうがギコチナイですよ。『新しい何かを探るために試行錯誤を重ねるパートナー』として、我々は魅力ある企業からそのココロを学ばせていただきたい。二宮尊徳、曰く、『道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である』。寝言を言わぬよう、井の中の蛙にならぬよう、連携は必須科目です」。
企業とNPOは実は、同じことを違う言語で話しているだけなのかも知れません。一度同じテーブルに着いて、お互いの話しを聞き合えば、対話が生まれ、協働が生まれます。そのキーワードは「互いの尊敬と信頼」。そして、これらを導き出すのが「共感」であると、お互い学び合えたようです。
現在、プロジェクトからいくつかの事業が、巣立ちそうなところまで成長しています。


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