羽毛業界のトップ企業が、なぜリサイクルに乗り出したのか
—河田フェザー株式会社—

(data)
河田フェザー株式会社
所在地 三重県多気郡明和町山大淀3255番地
代表者 代表取締役 河田 敏勝
設 立 昭和38年(1963)7月
創 業 明治24年(1891)
資本金 4,320万円
従業員 60名

社屋の外観大型の羽毛選別機
社屋の外観大型の羽毛選別機

河田フェザー株式会社は、日本の羽毛業界の草分け的存在。高品質の羽毛を提供することで、幅広く信頼を獲得するにとどまらず、JIS規格など羽毛の性能評価の基準づくりにも関わってきたオーソリティです。世界各国にルートを持ち、いかようにも原毛を調達できるはずの老舗が、3年前からリサイクルに乗り出します。背景には、羽毛の需給バランスの崩れと、サステナビリティがありました。


「もったいない」の国の、もってのほか

ふわふわと柔らかなイメージの羽毛は、実は、ハードケラチンと呼ばれる硬いタンパク質から出来ています。鳥のくちばしや、動物の角と同じ物質で、非常に丈夫。きちんとメンテナンスすれば、100年以上使えるとか。しかし、その成分の約 50%が炭素という“炭素系素材”ゆえに、羽毛1kgを焼却処分すると、約1.8kgもの二酸化炭素が発生してしまいます。これをリサイクルすることは、ゴミ減量と二酸化炭素の排出削減、二つの環境問題に貢献することになります。しかしどういうわけか、日本には、羽毛のリサイクルの仕組みも、リサイクルするという意識さえもありませんでした。世界中で、日本だけが…。そこで立ち上がったのが、河田フェザーだったのです。


国内初、羽毛リサイクルに着手

2010年の秋、河田フェザーでは、本業を通じたCSR活動の一つとして、羽毛のリサイクル・システムの構築に着手しました。使わなくなった羽毛布団や着なくなったダウンジャケットなどを回収し、取り出した羽毛を洗浄・精製加工することによって、新品の羽毛以上にクリーンに再生。新たな製品の原料として使用する、国内初の大規模な羽毛リサイクル・システムです。おりしも、ダウンウェアや羽毛布団のマーケットが拡大する一方で、羽毛の供給は減少傾向となり、羽毛の需給バランスが崩れて高騰を招いていました。羽毛という限りある資源を循環再利用する取組みは、時代の要請でもあったのです。


羽毛高騰のスパイラル、その発生源は…

羽毛は、現在、食肉用に飼育される水鳥の副産物。ここに高騰の要因がありました。羽毛の世界シェアで大きな地位を占める中国でも、水鳥はごく日常的な安価な食肉。当然、市場原理が働き、コストダウンは必須です。そこで農家は、飼育日数の短い水鳥を出荷するようになります。未成熟で羽毛の量は少ないうえ、生育不足で美味しくない肉の消費が伸びるわけもありません。そこで、さらに飼育期間を削って…。こうして羽毛の供給が減っていきます。それに追い打ちをかけたのが、鳥インフルエンザ。流行のたび大量の殺処分が繰り返され、農家は水鳥から手を引き、あるいは廃業し、羽毛の供給はますます減少していきました。そんな危機的状況を打開するためにも、リサイクルは必然でした。


環境と福祉、複合的な貢献

今まで誰も手をつけようとしなかった、『羽毛のリサイクル』をするだけで、ゴミの削減と資源の再利用、CO2排出の抑制など、環境保全の貢献につながります。そして、意外と見落とされがちですが、羽毛を原産国から日本へ輸送する際のエネルギー消費とCO2の発生も抑えることができます。これらは、消費者の意識の向上や、子どもたちへの環境教育に役立つでしょう。さらに、一連のリサイクル工程の一部を、障害のある人たちに任せることで、雇用の創出につなげるという重層的な側面も併せ持っているのです。


白い羽毛から赤い羽根へ、新たなプロジェクト

赤い羽根でおなじみの共同募金。地域で集めた募金は、募金を集めた地域の福祉に使われます。ここに着目したのが、2012年に誕生の『UMOUプロジェクト』。地域の小学校や障害のある人たちを支援する施設が協力して、使わなくなった羽毛製品を回収。河田フェザーの関連会社 エコランドがこれを買い取ったお金は、共同募金会に寄付され、地域の福祉に役立てられるという仕組みです。


羽毛プロジェクト


サステナビリティは、地域から全県へ、全国へ

当初、河田フェザーの所在地、明和町で始まった『UMOUプロジェクト』は、2013年からは県下29市町に波及。全県的な広がりを見せるまでに成長しました。
また、2013年の秋には、スポーツウェアメーカーのゴールドウイン社との連携による『GREENDOWN RECYCLE PROJECT』もスタートしています。同社製の中古ダウンウェアを、全国に広がる直営店舗などで回収。羽毛リサイクル・システムによって精製加工された再生ダウン『GREENDOWN』を、新たに製品の原料として使用するものです。河田フェザーが始めたサステナビリティの輪が、全国へ広がっています。


「どうして、羽毛1kgを燃やすと1.8kgの二酸化炭素が発生するの?」
羽毛の成分の約50%が炭素なので、羽毛1kgには約500gの炭素が含まれていることにします。
二酸化炭素CO2は、炭素原子「C」1個と酸素原子「O」2個がくっついたものです。炭素の原子量は『12』、酸素の原子量は『16』なので、原子量をそのまま質量比として考えると、12gの炭素Cには、 16gの酸素Oが2個くっついて、44gの二酸化炭素CO2ができることになります。
  12g+(16g×2)=44g
44gが12gの何倍に当たるかというと、44÷12=3.666… で、約3.67倍
すなわち、炭素は、その約3.67倍の二酸化炭素になるということ。よって、炭素500gからは、
  500g×3.67=1835g
つまり、約1.8kgのCO2ができるということになります。









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